筆者は帰国したか。

今日はドイツへ移住する前によく行っていた地域に足を踏み入れた。 そこには久しぶりとか懐かしいといったようなものを超えた何かがあった。 せいぜい2年ぶりくらいなのだが、なんだか違って見える。 こういうのは実はよくあって少しずつ帰って来たんだなぁ、という実感を取り戻している。

とか言っているがもう既に帰国してからゆうに半年は経っている。 なにゆえ未だにそんな感じなのか。 ただでさえふわふわしているのにさらにふわふわしている。 もう空も飛べるはずである。   そして思い至る。 筆者はまだ帰って来ていないのではないかと。 心当たりはあった。 Screen Shot 2015-12-10 at 19.52.29 筆者はドイツ滞在中に目眩を起こし、頭でドアのガラスを割るという「耳パックリ事件」を起こしている。 病院をたらい回しにされたり、エロい看護婦に荒い治療を受けたり、保険の支払いにヤキモキさせられたと記憶している。

しかし、そんなことは無かったのだ。 妄想の産物、まがい物の記憶である。 あの時筆者は耳だけでなく頭部にも深く裂傷を負っていた。 知り合いもいないベルリンの町の片隅のアパートで、誰に発見される事も無く息を引き取ったのである。

ひどい乾燥によってミイラとなった筆者を発見したのは家賃の催促にきた管理人であった。 管理人はお湯に浸けて戻そうと思ったが湯船が無かったので諦めた。 ひとまず死体を片付けようと持ち上げたところ一瞬で全てが灰燼と化し、あとにはHARIBO(グミ)だけが残されていた。 「HARIBOは固いからな!ファッハッハ!」

せめてHARIBOだけでも本国へ帰国させてやろうと管理人は動き出した。 管理人はHARIBO製造工場に潜り込み、筆者の死体から出たHARIBOをハリボーゴールドベアにバランスよく入れていく。 どれが日本に輸出されるかわからなかった管理人はとりあえず成分表示に漢字が使われているものに入れていった。 「ミッションコンプリート!」

しかし脱出の際、警備員に見つかってしまう管理人。 警備員が放った威嚇射撃がミラクル跳弾によって管理人にヒットする。 管理人の最後の言葉は 「管理人死すともHARIBOは死なず。」だったという。

こうしてHARIBOは輸出され、いつのまにかHARIBOに込められた筆者の魂も少しずつ日本へ帰って来ている。 しかし行った事が無いのに中国の景色が垣間見えるときがある。 今読者諸賢の手元にあるHARIBOの中には筆者の魂(グミ)も入っているかもしれないからよく噛んで食べるように。