必死剣 鳥刺し

世間がスターウォーズの新作公開で湧く中、筆者は藤沢周平氏原作の隠し剣シリーズの一遍、「必死剣 鳥刺し」の映画を鑑賞した。 筆者は藤沢氏の原作小説は読んだ事は無いが、山田洋次監督を始めとする実写化シリーズのファンである。   「必死剣 鳥刺し」は他のシリーズ同様、藩における人間関係やそれぞれの思惑、身分違いの恋などを描いた時代劇である。 主演の豊川悦司氏は髷(まげ)があまり似合っていないがさすがの名演である。 おそらく御尊顔が美しすぎて違和感があるのだろう。 実際歌舞伎の女形とか出来そうだなと何度か思ったのであった。 それに比べて小日向文世氏の似合い方はどうだろう。 ナチュラルそのものである。   髷のくだりはこのくらいにして。 この藤沢氏の時代小説の何に惹かれているのかと端的にいえば、それは女性の表現である。 身分や立場において想いを易々と口にできず胸に秘める。 そして想いがあふれた時の控えめでありながら真に迫る表現の仕方に萌えるのである。 ちなみに女性は発言を控えて黙っていろ、という事ではないので誤解無きよう。 ただ時代劇の社会背景において、多くを語らない男女のお互いを想い合う関係性が如実に現されており、「よいな。」と思うものである。 一体筆者は誰に向かって弁解しているのであろうな。 「お前も黙れ。」と言われそうで筆者の小さき肝は縮み上がっている。 表現というのは制限があるからこそ光る、というそんなお話。   しかしこの「必死剣 鳥刺し」では藩主の側室である連子は藩主をそそのかし藩の財政にまで口を出す現代的なキャラクターであるし、主人公と恋仲となる里尾も結構ぐいぐいものを言い、感情をあらわにするシーンが見受けられたりして、同シリーズ「隠し剣 鬼の爪」と対照的な内容である。 「隠し剣 鬼の爪」はそれはもう松たか子氏にモエテモエテ仕方ない映画である。   思えば身分違いの恋という少女マンガではベタな設定であるが、そんな関係性に萌えるのは男性も女性も同じなようである。 「萌え萌え気持ち悪いです。」と脳内乙女に罵られたのでこの話もこの辺にしておく。   作中、主人公は1年の閉門(軟禁状態)の後、1年ぶりに風呂に入るというシーンがあったが1年風呂に入らないというのは想像を絶する。 垢は地層のように重なり、体臭は獣のそれに近づくのだろうか? 「風呂に入らず死んだやつはいない。」とあまり入浴を好まない人が口にしたりするが、潔癖性の筆者はストレスか己の体臭に絶望して死ねる気がする。   現在放送中のドラマ「下町ロケット」で財前役を演じている吉川晃司氏も今作に出演している。 当たり前だが「同じ人だな。」と思った。   「必死剣 鳥刺し」は本日までGyaoで視聴可能である。 今日はスターウォーズを見に行くよりは家で過ごしたい、「下町ロケット」最終回放送まで暇、という人にはオススメの映画である。