古民家を購入して地方に移り住むまで 其の二

尾道市を後にし棚ぼた空き家物件探しの決意をやわらかく固めた筆者はひとまず東北の奥深き山中にある実家へ帰り入院生活を送ったりしつつ、家を買うとはどういうことだろうか?というところから始めた。 なにせ今まで家を所有したい(安ければ)などと思ったことは一度も無いのである。

家を買うにはどんな手続きが必要か。 購入代金以外にどんな費用が発生するか。 かかる税金にはどんな種類のものがあるのか。 地目や区域区分にはどんなものがあるのか。 個人間の取引と不動産会社を介した取引ではどんな違いがあるのか。

などなど。 「中古物件の買い方」というようなダイレクトな内容の本や、不動産投資をされている方の著書を読んだり、不動産競売のウェブサイトを覗いてみたりした。 買おうとしてみなければ知らないことばかりで大変勉強になった。 中古物件のチェックの仕方などは物件を見て回る過程でとても役に立った。 それから「不動産売買で関わる人間に対しては性善説ではなく性悪説の立場に立たなければいけない。」という戒めは筆者のようなのほほんとした人間には雷を打たれたようであった。

そんな風にちくちくと知識を蓄えつつ日本列島を南下しながら気になる地域へ足を運んだりした。 この頃はどこに住みたい、というものが無かったので「海の近く」みたいなふんわりした条件で探していた。 筆者はあまり塩水に浸かりたいと思うタイプでは無いが海を眺めているのは大好きである。 しかしあまり海が身近とは言えない半生を送ってきた為、多少の憧れはあったのである。

そうこうしているうちに東京まで到達。 ひとまず東京を拠点に物件探しを続けることにした。   主に全国の市町村や自治体で運営されている空き家バンクをもとに物件を探し、結果的にはこの空き家バンクから情報提供を受け購入に至ったわけであるが、この空き家バンク、地域によって全然違う。

一番大きいのは行政が本当に地域の空き家に入居者を募って街を活性化させたいと思い運営している場合と、不動産会社が行政の看板を借りて商売をしているだけの場合には大きな違いがある。 後者は不動産屋の窓口が増えたというだけの話で金額設定も空き家が多くて困っているという雰囲気は感じられないし、行ってみると普通の物件探しと何も違わない。

それから街が入居者に条件を付けている場合などもあって、そのような場合には筆者はまるでお呼びでない人となった。 具体的には家族世帯であるとか就農であるとか。

「条件出しが出来る余裕があるとは驚きですなぁ。」 「そんな金額を田舎の一戸建てに支払うくらいなら都内でマンション買うわー!阿呆!」

筆者はふてくされた。 しかし、古民家をタダ同然で購入できた今となってはそんなことはどうでもよい。

この頃、ネット上ではよく「古民家をもらった」「タダで手に入った」という情報をよく目にした。 その多くが親戚やご近所様のツテで手に入れたのだという。 このパターンがおそらく最も安く空き家を手に入れやすい方法であると思う。 しかしそんなツテは誰にでもあるものでは無いし、新しく構築するというのもなかなか難しいだろう。

ツテがなくても全国の空き家バンクの情報をマメに見ていると100万円以下の物件というのも多く見つけることができるし、最近では通常の不動産売買のサイトなどでもその程度の物件を目にすることがある。(囮物件の可能性は多分にある。) 安易にお勧めはしないが不動産競売でも格安物件はゴロゴロしている。

とにかく空き家は増え続けているし、以前からの空き家だって放ってはおけない。 今、いずれ地方に移り住みたいと考えている20代〜30代が増えているらしい。 空き家を手にいれるなら今のうち!とは思わないし選択肢は増えていくだろうと思う。 しかし各地にポツポツと出来上がっているコミュニティはそれぞれの特色を醸し出し始めている。 何か始めるなら今、という雰囲気はあるのでは無いかと思うし、たまには勢いに任せてみるのも良いのでは無いかと思う。

・・・話が逸れた上に締めに入りそうであった。 まぁそんな風にして物件探しを続けた筆者に「こ、これは!」という物件の情報が舞い込んだのであった。

つづく

全国の空き家バンクポータルサイト