筆者は何故、古民家を購入し地方へ移り住んだか

地方移住は最近では流行りの様によく耳にする言葉となったので今更珍しくもなんとも無いのだが、筆者なりに動機というかそこへ至るプロセスがむにゃむにゃと在るので思いつく限り書いてみたいと思いまーす。   「移住」というのは読んで字のごとく「移り住む」という意味だが、筆者は「移住」が大げさというか、「引越し」などと比べてかなり思い切ったことをしているというような使われ方をしていると思う。 「人が移動したってだけの話でしょ?」と、根無し草思考の筆者は思ってしまう。 要はそのようなお気軽な移動であったという前提がある。   筆者は一昨年までドイツに暮らしたが、海外から帰国の途についた日本人はなかなか苦労することが多いようである。 筆者も御多分に洩れず、帰国後の処遇は芳しくなくそれなりの苦労があった。 中でも不動産賃貸における信用問題はもういやんなっちゃう有様であった。 十分予想していた展開ではあったのだが。 ドイツではビザとビザの為の残高証明が有ったもののサイン一つでアパートを借りられたというのに、日本ではとりあえず保証人である。 大学に入学するのだって保証人が必要なのも腑に落ちないものがあった筆者はこのシステムが大嫌いである。 信用されていないということよりも自己責任で人生を歩ませてもらえないことへの苛立ちとでも言えば良いのか。 違約があれば立ち退きでもなんでもする腹積もりである。 そんな苛立ちが帰国後に爆発したので賃貸契約からは距離をおきたいと思ったのが動機の一つ目である。 そうして帰国前から考えていた安い空き家物件探しに乗りだしたのであった。   ミニマリスト諸兄のがらんどうな住居空間に対し「うさぎ小屋」「独居房」との揶揄に筆者は「一理ある」と思っている。ということはすでに書いた。 勝手な想像に過ぎないがそのような部屋に暮らすミニマリスト諸兄は家の外に楽しめる場所を持っているのだろうと思う。 モダァ〜ンなカフェとか老若男女が躍り狂うクラブであるとか。   筆者は天体観測を趣味とするアウトドア派を自称しているが家にいるのも大好きなのである。 本を読んだり、映画を見たり、ゲームをしたり、なにもしなかったり。 そのようなことをしたり、しなかったりする時、フローリングの固い床以外には何も無いというのは遠慮したい環境である。 家というのはなにかふわふわしたものが漂っていてほしいと筆者は考える。決して埃では無いと付け加えておこう。 まぁそんなものは個人の趣味なので好きにしたらよろしい。 だから筆者は家作りを新たな趣味とすることにした。 今回空き家を探す過程で家の修繕に関するブログなどを見ているうちに、「なんて楽しそうなのだ!」と筆者の中のDIY精神が呼び起こされ、「もとある家の形などどうでも良いではないかっ!Do It Yourself!自分でやるんじゃあ!」と一人で盛り上がった。   筆者は最近リニューアルし物議を醸した雑誌ku-nelを愛読していた。 ku-nelにはお洒落空間に暮らすお洒落人間たちが毎号これでもかと登場し筆者も「イイナイイナ」と眺めていたのである。 ku-nelに登場する部屋はどこぞのデザイナーズマンションなどでなく掘り出し物のような物件や入居者が自分でカスタマイズしているようなものが多く、なんだか映画のセットのようなお部屋だったりするのである。 「そんなお部屋を眺めて憧れているだけでなく我が物とする時が来たのでは無いか。筆者もお洒落人間としてお洒落空間を根城とし、日々ふわふわとした物に囲まれる時が来たのでは無いか。来たな、うん来た。」 と、やや暴走気味の動機が二つ目。     三つ目は東京、もとい都会にいなくてもいい気がしてきたということである。 お仕事の形態もずいぶん変わったし、買い物もネットで全部済ますことができるようになった。 どこにいても割合同じような生活を送れるようになってきたのでは無いかと思われる。 であるならば、高い家賃を支払って東京にいる意味はなんなのか。 金曜の夜の中央線の満員電車で受けるストレスに見合う対価を得られているのか。 筆者にはそのあたりの必然性がなくなってしまったのだった。   東京という街は行こうと思えばいつでも行けるし、しばらく滞在しようと思えば出来てしまう所である。 シェアハウスだってあるし宿泊施設もピンからキリまである。 東京に拠点を持つことは難しくない。 しかし逆は難しい。地方には連泊できるような宿泊施設はさほど多くは無いし生活基盤が無いと不便が生じる。 であるならば住居費の安い地方を拠点にしてしまうのが良いかと思ったのだ。 実際家賃というものがなくなった今の筆者は都内のワンルームの家賃程度で一月を暮らせてしまう。 同じだけ家賃だけで消えていたかと思うとにわかには信じがたい。   あとは実際問題お仕事をするのに場所がいるなど当たり前のことがあったり、僅かばかりの報酬の最大化を図りたいなどビジネスメンとしてと思惑があったりなかったり。 動機は他にもあったような気がするが今は浮かんで来ない。 脳のシワから滲んできたら再び記述することとする。     ミニマリストにとって物を所有することはそれに伴い管理するものが増えて煩わしい、スマートじゃ無い。というのが前提としてあるように思う。 家なんて手のかかるものは言語道断である。 であるから   「最小限主義者などと言って家を買うなんてやわらか過ぎるぞっ!」   という揶揄が聞こえてきそうである。 漫画「よつばと!」の中で登場人物たちが本棚を作るエピソードにおいてジャンボ氏は言っている。   「めんどくせーからおもしろいんじゃねえか。」と。